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    DV加害者とDV被害者のトラウマ性結びつき(トラウマティック・ボンディング)

    • 2009.07.08 Wednesday
    • 11:31
    自分自身が、DV被害に遭い、経験した中でも一番驚いたことは、トラウマティック・ボンディングでした
    これは、トラウマ性結びつきと言われます
     

    似た例で、ストックホルム症候群があります
    これは、人質にされた方が、解放後、犯人を庇う傾向が強いことから注目された現象です。
    過酷な人質生活の中で、極度の緊張と、いつ殺されるか分からない不安感のと闘いを強いられて、人質の方の精神状態はどんどん追い詰められます
    そんな時、犯人とささやかな温かい交流があったり、優しい言葉を掛けられたり、温情あふれる扱いを受けたりすると、一気に、犯人への親愛度が高まることがあります
    灼熱地獄のような砂漠の真ん中で、冷たい水を分けてくれるような存在に、犯人が見えてしまうのです
    犯人によって、人質の方は理不尽な状況を強いられているのに、閉ざされた世界に閉じ込められているために、犯人が絶望だけでなく、希望をも抱えた、かけがえのない存在に見えてきてしまうのです
    命を握られているのですから、当然といえば当然なのですが・・・・。
    あまりにも、残酷な現象です
    命を危険にさらしている相手だからこそ、相手の優しさが大きく偉大なものに感じることもあるでしょう
    犯人が逮捕後の裁判で、犯人の減刑を求める人質の方もみえると言います。
    限られた世界の中で過ごすことを強要されると、老若男女問わず、こうのような傾向が見られるそうです
     

    児童虐待が起きる、家庭内でも似たようなことが起きます
    子供は、親が大好きです
    幼ければ幼い程、何をされても、親を愛し、親に好かれようと頑張り、縋りつきます
    虐待されればされる程、両親に愛される子供でいようと、努力します
    突き放されれば、突き放される程、親にしがみつきます
    自分がいい子になれば、親は優しくしてくれるはずだ
    自分が我慢すれば、家族みんなが幸せになるはずだ
    自分が悪い子だから、叩かれたり、殴られたり、怒鳴られたりするんだ
    自分がいい子になりさえすれば、いっぱい気をつければ、大丈夫だ

    だから、親から引き離されることに恐怖を感じます。
    他人に虐待を知られれば、親から引き離されるのではないかと怯えます。
    親が悪く言われるのではないか、大好きな親が誤解されるのではないか、本当は優しい親が自分のせいで怒られたりいじめられるのではないか、とても心配になります
    何故、親と離れたくないのでしょう?
    暴力を振るわれているのに。
    それは、親に愛されたいからです
    ただ、優しくされて、
    「大好き」
    と、抱き締めてもらいたいからです
    そのまんま生きているだけで、いいんだよ・・・と、肯定して欲しいからです
    あなたはあなたのままでいいんだよ、あなたは生きているだけで素晴らしいんだよ、と、肯定して欲しいからです
    他の誰でもなく、親にそうしてもらいたいのです
    自分が愛している人に、同じように愛してもらいたい・・・それだけなのです
    だから、いつも殴る親が時折見せる笑顔や、優しくしてくれた思い出が、宝物になります
    その記憶に縋り、どんな辛いことが起きても、また優しくしてくれる・・・と信じて、そばに居続けます
    親を信じようとします
     
    我が家で、こんなことがありました。
    夫婦で言い合いになった、翌日(DV行為についての話し合いでした。私は彼にDV行為を認めてもらいたかったのですが、彼は素直に認めず、平行線のまま話は終わりました。プログラム受講8ヶ月目のことでした)
    いつも帰る時間になっても帰らない彼を心配して、子供が愚図り始めました
    子供は、前日のピリピリした両親の緊張状態を察していたので、父親が帰らないのではないかと不安になったのです
    「大丈夫だよ、お父さん。自転車屋さんへ寄って来るって、言ってたから。そのうち帰るよ」
    と、私が話しても、信じません。泣き出してしまいました
    「おとうさん、もうかえらないの?おとうさん、いなくなっちゃうの?
    「大丈夫だよ、帰るから。ごめんね、昨日、心配かけちゃったね」
    私が抱き締めようとしましたが、子供は逃げて、部屋の隅でうずくまり、
    「おとうさーん、おとうさーん、おとうさーん!!
    と、泣き叫んでいます。
    「・・・じゃあ、お父さんに、電話かけてみる?」
    私は携帯電話を取り出して、聞きました。
    「かける・・・!!
    子供は、涙を拭きながら走り寄り、私の膝に座りました。
    携帯電話を掛けながら、正直、気が重くなりました
    彼が今日会社帰りに自転車屋に寄ったのは、彼の趣味のロードバイクの部品交換のためで。
    自転車屋でお友達とわざわざ待ち合わせて、彼と話すのを楽しみにしていたのを聞いていたからです。
    大丈夫かな・・・機嫌が悪くならないかな・・・と思いつつ、彼を呼び出しました。
    「はい」
    電話に出た彼の声は、少し強張っていました。
    「お疲れ様です。もうお仕事終わった?」
    「うん。何?」
    「お父さんが帰らないって、大泣きしちゃって。声だけでも聞かせてあげてくれる?」
    「・・・そうなんだ。いいよ」
    子供に携帯電話を渡しました。子供は、泣きながら、
    「おとうさん、すぐにかえってきてっ!!
    と、叫びました。
    彼が何か言ったみたいです。子供は、ますます泣きながら、
    「おとうさん、かえってきてっ!!
    と、叫びました。彼がまた何か言いました。子供は、鼻水まで出して、
    「おとうさん、かえってきてってばぁーーーーっ!!
    と、オイオイ泣き叫んでしまいました。
    子供を抱き締めながら、携帯電話を受け取りました。
    「もしもし?こんなに不安になっているの。昨日、すごく我慢していたみたい。すぐには帰れない?」
    「・・・すぐには、無理だね」
    「今、何処?」
    「・・・何処って?」
    「もしかして、自転車屋さんのすぐ近く?」
    「・・・まあ、そうだね。」
    彼が、すぐに帰るつもりはないことは分かりました
    「分かった。じゃあ、気をつけて」
    携帯電話を切り、子供をギュッと抱き締めました
    「ごめんね、お父さんね、どうしてもブレーキ交換してきたいんだって。でも、ちゃんと帰るから。心配ないよ。お母さんと遊ぼう、ね?お父さん、何処にも行かないから。君のところへちゃんと帰るよ。だって、お父さんは、君のこと、大好きなんだもん!」
    「・・・じ、じ、じてんしゃ・・・よりも?」
    泣きじゃくりながら尋ねる子供をさらに抱き締めて、
    「当たり前じゃん!」
    私まで、涙ぐんでしまいました
    帰宅した彼は、
    「すぐに帰れないんだから、いくらすぐに帰って来てって泣かれてもさ。うん、すぐに帰るよ、何て言えるわけがないだろう。嘘ついていいのかよ、子供に。その方が、親として人間として、おかしくないか?
    と、言いました。
    「あの子が、あんなに泣いてお父さんを求めるってことは、相当な不安があったって、どうして考えてあげられないの?
    イルカを見に、私と家出した時から、あの子は家庭で起きていることがどういうことなのか、お父さんは今どんな勉強をしているのか、お母さんはどんな病気なのか、あの子なりにちゃんと理解して受け止めているんだよ。
    だから私は、あの子が聞けば、あの子が負担にならない程度に情報は伝えているし、あの子の気持ちをいつでも受け止めてあげられるようにって、自分もカウンセリング受けて少しでも心に力をつけようとしている。
    それでも、私一人頑張ってもダメな時があるの。パパじゃなきゃ、ダメな時があるの。嘘でもいいから、すぐに帰るよ、ごめんね、心配かけて。お父さん、すぐに帰るからねって、優しく言ってあげるべきだったんじゃないの?
    「俺に嘘つきになれっていうのか?子供に嘘をつく親になれっていうのか?
    「そうじゃなくて。子供の心を思いやって、言葉を使ってって言っているの
    「すぐに帰れないのに、すぐに帰るなんて言えないね。かえって、子供を傷つけるじゃないか。すぐに帰れないんだから
    「だから、すぐに帰ってって、泣いている子供には、うん、すぐに帰るよ、ごめんねって、言うだけでいいの。安心するの
    「帰って来て、責められるじゃないか。すぐに帰らなかったって
    「安心しているから、責めたりしないよ。もし責められても、ごめんね、これでも頑張って帰ったんだよって、言えば済むことじゃない
    「俺に、そんなに嘘だらけのことを言わせるのか。子供にも、悪い影響を与えるじゃないか
    「だぁーかぁーらぁー、嘘、嘘言う前に、子供の気持ちを思いやれないかと言っているんです
    「俺は、嘘をつくのは嫌いだ。嘘だけはつきたくない。嘘をつくのは、親としてもどうかと思う。嘘つきは、人としてもどうかと思う
    きっぱり言う彼を、私は冷ややかに見つめました
    「・・・何?」
    彼が、私を不安そうに見ます。私は、静かに言いました。
    「・・・私は、あなたが嘘をつくのは嫌いだって言うのを聞いて、とても悲しい気持ちになった。そして、怒りも感じる。
    私は、パニックになっていたけど、あなたが初めて平然と目の前で嘘を付いた瞬間も覚えている」
    彼が、青ざめました。
    「このアパートに越してすぐの夜。
    あなたは、爆発したよね
    壁を殴って、物を叩きつけて、大声を出して、髪の毛をかきむしって地団太を踏んで
    寝ている子供を起こすかも知れないのに。
    私が腰を抜かして、泣いて逃げ回っていたのに。あなたは、決して、やめなかった。
    私が泣きながら、近所の私の実家に電話したら、両親と弟がすぐに来てくれた。
    そうしたら、あなたは、普通に戻っていて。
    扉を開けて、心配して飛び込んで来た身内に、
    ”すみません。お騒がせして。自分が、ついうっかり、大きな音を立ててしまったら、あんな風になってしまって
    と、申し訳なさそうに説明し、腰を抜かして泣きじゃくっている私を見せたんだよね」
    はっきりと覚えています。その後、私は、
    「何をやっているんだ、お前は。旦那がうっかり大きな音を立てたくらいで!馬鹿か・・・!」
    と、父親に怒られました。
    吐き捨てるように出された言葉は、さらに私を床へと沈め、立ち上がる気力を失いました。涙はますます止まりませんでした
    「懇々と父親に説教される私を哀れむように見ながら、あなたは
    ”いいえ、お義父さん、自分がうっかり大きな音を立てたので。僕が悪いんです。不注意でした
    とか
    ”子供が起きると心配したんですが、奥さん、一度パニックになるとどうしようもないみたいで・・・お騒がせしてすみません
    とか、言っていたよね。
    あの時のあなたは、嘘つきだったんじゃないの?平然と嘘をついていたんじゃないの?それとも、忘れてしまった?」
    彼は、静かに睨みつけてきました。
    「・・・覚えているよ。嘘って言われれば、嘘になるけど。嘘というなら、嘘だね
    「嘘じゃん
    「・・・まあ、捉え方だけど。嘘だっていうなら、嘘でいいよ
    「嘘が嫌いって、嘘ついてるじゃない。自分の都合のためなら、いくらでもついているじゃない。だけど、どうして子供の心を救うための嘘はつけないのか?分かる?
    「・・・さあね。嘘はよくないからじゃない?
    謝りたくないからだよ。子供に。すぐ帰るよ、ごめんねって。譲りたくないからだよ、子供に。王様の自分がどうして、お前達の都合に合わせて言葉を選ばなくてはいけないんだって、思っているからだよ、あなたが
    「・・・どうしても、そういう考え方になっちゃうんだ・・・嘘が嫌なだけなのに
    「嘘が嫌なあなたが、どうして、嘘ばかり他の人には付くの?
    「・・・・・
    彼は、黙秘を始めました。黙秘というか、無視です。こうなると、彼は、爆発のきっかけを探すだけになるので、私は話すことを諦めました。
    その翌日から、子供が夕方、泣くようになりました。
    「おとうさんのかおがこわい・・・!おとうさん、おこってる・・・!
    「怒ってないよ、お父さん。おいで
    と、彼が笑顔で言っても、子供は泣き叫びます。
    「わたしが、わるいこだから、おとうさん、こわいままなんだ!わたしは、ここにいちゃいけないんだ!おほしさまになりたい・・・!
    私は、子供の言葉に驚きました。
    「ど、どうして?どうして、お星様になりたいの?」
    「だって、おとうさん、こわいままだもん。でも、おとうさん、こわいおとうさんじゃないって。わたしがわるいから、おとうさんこわくみえるんだもん。おとうさん、わたしがいなくなれば、こわくないおとうさんにもどるもん。いちゃいけないんだもん。だから、おほしさまになりたい・・・!わたしがおほしさまになれば、おとうさん、こわくないおとうさんになるもん・・・!わたし、ここに、いちゃいけないんだもん・・・!
    「だ、だめ、だめ!!いや、いや!!お星様になっちゃ、お母さん、絶対に嫌!!そばにいて!生きていて!何処にも行かなくていいの!!お母さんは、あなたが大好きっ!!大大好きっ!!」
    私は、子供を思い切り抱き締めました
    「大好きっ!!大切だよ、そのまんまでいいよ、生きていてそばにいてくれなきゃ、嫌だよっ!!大好きだよっ!!」
    「・・・おかあさん・・・おかあさん、おかあさぁーん・・・っ!!」
    しがみつき大泣きする子供を、強く抱き締めながら、優しく頭を撫でながら・・・彼を見ました。
    彼は、泣いていました
    自分のしたことに気付いたのでしょうか?
    それとも、自分の家庭で起きていること、自分の置かれている状況に酔っているのでしょうか?
    もしくは、ここまで子供をコントロールしていることに、満足して涙が流れたのでしょうか?
     
     
    自分が、星になってでも、父親の笑顔を取り戻そうとする。
    それが、虐待された子供の叫びでした。
    肯定されない子供は、肯定されたいと、願います。
    肯定されないと、自分を責めます。
    子供は、笑顔のお父さんが、大好きでした。
    優しいお父さんが、大好きでした。
    自分の命を引き換えにしてでも、取り戻そうと願うくらい。
    トラウマ性結びつき、トラウマティック・ボンティング)は、彼と子供の間にも存在していました。
    そして、彼と私にも。
    次回は、そのことを書きたいと思います。
    誰も、誰のためにも、お星様にならなくていいのです
    いつか時がきたら、お星様になるのですから・・・・












    私のトラウマティック・ボンディング・・・DV被害のもう一つの恐ろしさ

    • 2009.07.08 Wednesday
    • 22:26

    子供が、「おとうさんのために、ほしになる」と言い出して、私は緊急事態が起きていると、ようやく気付きました。
    私は、今まで、子供をフォローできていると思っていたのです。
    しかし、それは、私の傲慢でした
    子供の心が危機に瀕していると気付き、私は彼に、
    「別居しましょう
    と、申し出ました。彼は、顔面蒼白になりました
    その日の1ヶ月前、私は、彼の繰り返す精神的DVに耐えかね、
    「今度何か起きたら、別居して離婚調停に入ります」
    と、宣言していたからです。
    彼が一番恐れていること、一番嫌なことは、別れです。押し黙り、目をウルウルさせて、私を見つめます。捨てないで・・・と、子犬が必死に訴えているような表情です。
    「どうします?ここから、出ていきますか?
    私は、構うことなく聞きました。
    「・・・ここは・・・俺の家でもあるし・・・それに。まだ、諦めたくないっ!!
    彼の叫びと、目の奥の暗い光に、無理強いは危険だと、思いました。
    「分かりました。今日は、私達が出て行きます。あなたは、ここにいらして下さい。また後日、話し合いをしましょう
    私は、すぐに、近所の実家に電話をして、しばらく置いてもらうように頼みました。
    子供は、泣きつかれて眠っていました。
    荷造りを黙々とする私とは、対照に、彼は、ずっと暗い表情で部屋の隅に座り込んだままでした
    私は荷物をまとめると、明日に備えて布団に入りました。
    しかし、携帯電話は枕元に置いておきました。彼が、どんな行動に出るか・・・分からなかったからです。
    緊張のために、眠ったふりをしていましたが、眠気は全く訪れていませんでした。
    彼は、しばらく座り込んだままでしたが、私が寝たと思ったのか、すくっと立ち上がり、トイレへ入り、その後、布団で眠り始めました。
    規則正しい彼の寝息を聞きながら、時折混じるいびきを聞きながら、私はようやく、うつらうつらと浅い眠りに入りました
     
     
    彼を仕事に送り出し、早速、翌朝から私の実家に移りました。
    子供は、おじいちゃんとおばあちゃんと住めると、大喜びでした。
    子供には、正直に言いました。
    「お父さんが、また恐いお父さんになっちゃったから、しばらく離れようね。何か聞きたいことあったら、何でも聞いてね」
    「・・・おとうさんには、あえないの?」
    「あなたが会いたい時には、いつでも会えるよ」
    「おとうさん、パーパーようちえん、ちゃんとおべんきょうできなかったの?」
    パーパようちえんとは、DV加害者更正教育プログラムのことです。
    「うーん、もう少し、頑張らないと難しいみたい。お勉強、真面目にやっているんだけどね」
    「おうち、でたのは、わたしのせい・・・?」
    「違うよ。お父さんが、恐いお父さんになったから。お父さんね、暴れたくなると、止められないんだ。だから、今はそばにいない方がいいからね。だから、おうちを出たんだよ」
    「あばれるのは、わたしのせい?」
    「違うよ。お父さんが、困った王様だからです。俺の言うことを聞け聞け星人に変身してしまったからです」
    「はははっ、おとうさん、こまったさん?かいじゅうなの?こまったねえ」
    おどけて笑う子供に微笑みながら、私は子供を抱き締めました。
    「・・・ごめんね。お母さん、気付いてあげられなくて。恐かったね。いつでも、泣いていいからね」
    「・・・うん。でも、おじいちゃん、おばあちゃんのおうちにきたから、だいじょうぶ」
    子供は、そう言いながらも、しばらく私の腕の中から出て行こうとはしませんでした。

    私は、すぐにDV専門カウンセリングを受けに行き、これからどうしたらよいのか、どうしたいと自分が思っているのか・・・アドバイスを受けながら、考えました
    実家の両親には、今の私達の状況を詳しく説明しようと思いました。
    これから長い別居生活に入るとなると、色々と迷惑を掛けてしまいます。
    食費など、色々なことをきちんと決めた方がよいと思いました。
    しかし、両親と話し合いをする時間は、得られませんでした
     

    別居して、私と子供が、実家に居候を始めた日の、翌日。
    私の兄弟のうちの一人が、同じように実家に、育児・家事の協力を求めてきたのです。
    そこの家庭は、共働きで子供は三人です。
    結婚し、お嫁さんのご実家で同居して暮らしていましたが、実の親である母親と、お嫁さんの喧嘩が絶えず、お嫁さんが出て行く、別居するとヒステリーを起こし、新居を買うことを決めたそうです。
    なので、今度は、こちらの実家に、高校生、中学生、保育園の子供の世話、特に、保育園の子の毎日の送迎や食事の世話をお願いしたいということでした。
    この話を聞きつけた、上の兄弟が飛んできて、両親と話し合いを始めました。
    難しいことなのですが、親を頼ることを前提にした生活スタイルに疑問を感じ、さらに両親の身体を心配する上の兄弟と、子供や孫のためなら何でもしてやりたい両親との話し合いは、平行線のようでした。
    私は、話すタイミングを失い、使わせてもらっている部屋で休んでいました
    その時の私は、夫との緊張のやり取りで疲れ果てていて、欝状態がひどくなっていました
    しかし、子供のことはきちんとしてあげなくては・・・と、気を張っていました
    そんな私のところへ、携帯電話のメールが届きました。
    新居を購入する兄弟のお嫁さんからでした。
    「自分さえ幸せなら、他はどうでもいいんですか?」
    突然のことで、驚き、次に体が、とてつもなく震えました
    「ジブンサエ シアワセ ナラ ホカハ ドウデモイイデスカ」
    何を言われているのか、分かりませんでした
    「そんなに私が近くに住むのが気に入らないんですか?」
    「文句があるなら、直接言って下さい」
    「自分の幸せを守るためなら、他は犠牲にして平気なんですね」
    「旦那さんが、DVするわけですよ。あなた、女王様だもの」
    「旦那さんが、かわいそう。旦那さんが、被害者だ」
    「あなたは、敵だ。だから攻撃する」
    「あなたは、私の境界線を越えた。地雷を踏んだ。許さない」
    彼女の攻撃は、止まりませんでした
    実は、彼女は前夫にDV被害を受けて離婚していた過去があります。
    私がDV被害者と分かった時、気持ちが分かると言ってくれました。
    いつも心配して、様子を聞いてくれました。
    そんな彼女が、何故こんなことを言ってくるのか?分かりませんでした。
    確かめれば、話は、簡単でした。
    上の兄弟が、両親と話し合いを始めた原因が、私が実家にいるせいだと思ったからでした。
    どうしてか。
    彼女は、私が実家に居座り続けたいために、上の兄弟を扇動して、彼女に協力的な両親の考えを変えようとしていると、誤解したのでした。
    ハッキリ言って、そんなこと考えてもいませんでした。
    そんな発想ができる余裕、何もない状態でした。
    自分の心身と、何よりも子供のこと、彼とのこれからのことで頭いっぱいで、どうしよう・・・でも、頑張らなくちゃ・・・と泣いていたのに
    何で、人を貶めるようなことができる暇があるのか。
    つーか、その彼女の発想に驚きました。
    なんで、そうーなるのっ!って、カンジでした。
    彼女は、辛いDV被害に遭ったそうですが、、私には、その傷がまだ癒えていない感じがしていました。
    兄弟の一人と結婚して、まず彼女が求めたのは、前夫がしてくれなかったことをすべてしてもらうことでした。
    子供の誕生日に会社を休むこと。子供には何でも買ってあげること。外食をいっぱいすること。
    給料が足りないとなれば、出世しろと、ヒステリーを起こし。
    出世して、帰りが遅くなれば、育児を私一人に押し付けて、と、見せしめに子供を虐待(子供の命が危ういところだった・・・と、後で聞きました)して。
    今度は、専業主婦では虐待してしまうからと、働きに出た彼女は、家事・育児の協力を両家の両親に頼みました。
    両家は、ずっと交代で、協力をしてきたのです。
    彼女は、その様子をいつも満足げに、微笑んで見ていました。
    多分、誰かが自分のためにしてくれることが・・・嬉しかったのでしょう。
    心に傷を受けた方は、心に大きな穴があくことがあります。
    もしかしたら、彼女の心には穴があいていて、その穴を埋めるには自分の力だけではどうしようもなくて、どうしても周囲を巻き込まずにはいられないのかも知れません。
    彼女は彼女で大変だと思うのですが、私もその時、大変でした
    繰り返される緊張と不安の中の、夫との生活。
    実家で休み、色々な疲れが、一気に噴出しながらも、しっかりしなくちゃと自分を鼓舞して。
    ようやく何とか立っていられた状態が、彼女からの攻撃で、木っ端微塵になりました
    彼女が恐くてたまらなくなりました。
    震える手で、携帯電話を握り締め、止まらない涙を懸命に拭いながら、両親に話しました。
    「・・・こ、こういう、メールがきて・・・こ、こわいの・・・
    母親は、言いました。
    「そんなの、気にしなきゃいいじゃない。あんたは、気にし過ぎなの!」
    父親は、言いました。
    「そういうことを書かれるのはな、お前に原因があるからだろう。身に覚えあるんじゃないか?マイホームを買う兄弟に、おめでとう、大変だけど頑張れ、協力するよ・・・くらい、言ってやれ!そうすれば、そんなこと書かれないんだ」
    私は、立っていられなくなりました。息が苦しくなりました。
    彼女を恐いと思う、私が気にし過ぎ・・・?私がおかしいの・・・?やっぱり、病気だから・・・?それとも、父が言うように、私が彼女を不愉快にさせることをしていて・・・私が悪いから・・・?私が悪いから、今、こういうことが起きているの?私のせい・・・?
    「あんたが、人のことを気にする性格だから、誤解されて、そんなメール送られるんじゃないの?先回りし過ぎなのよ、何事も」
    「そんな馬鹿馬鹿しい喧嘩の内容を見せるな!お前は、すぐにそうやって泣くがな。泣いて、お前の問題は解決するのか?」
    いつの間にか、そばに・・・夫が、いました。
    「奥さん・・・大丈夫?
    夫の腕には、子供が、真っ赤に泣きはらした目で抱かれていました。
    「おじいちゃんと、おばあちゃんが、おかあさんいじめるから、おとうさんよんできた・・・」
    私は、ぼんやりと、彼を見ました。
    彼は、とてもとても優しい笑顔で、
    「・・・もう、俺が来たから、大丈夫だよ
    と、言いました。彼は、両親に、
    「奥さんは、今、すごく打たれ弱い精神状態なんです。理解してあげて下さい
    と、言いました。母が、キレました。
    「ちょっとっ!!そもそもそういう状態にしたのは、あなたでしょっ!!」
    「そうです。だから、俺には何を言っても構いません。でも、奥さんにはやめて下さい
    彼は、私の手に握り締められていた携帯電話を見ました。
    「・・・ひどいね。奥さんは、こんなこと書かれていい人間じゃない。辛かったね
    彼の優しい言葉と、声の響きに、私は嗚咽がもれました。
    「・・・こ、こわい・・・の。こ、ここに・・・いる、と、みんなに・・・おこられる・・・メールも・・・くるの・・・」
    「うん。帰ろう。アパートに帰ろう
    「かえろう、おかあさん!」
    彼と、子供の優しい導きに、私は泣き崩れました。
    両親は、憤慨しました(そりゃあ、そうですよね。DVから逃げてきたはずの娘が、またDV夫の下に戻るんですから。しかも、自分から)
    「帰るのは、許しませんっ!!まだ、ここにいて、休みなさい!!」
    母が、憤怒の形相で叫ぶのを、話し合いに来ていた上の兄弟が、
    「仕方ないよな。ここじゃ、今は、休めないんだから」
    と、言いました。
    「何ですってっ!!」
    「だから、そのキーキー声が、あいつには辛いんだろうが」
    上の兄弟は、そう言った後、私に穏やかな声で言いました。
    「おい、誰にも遠慮しなくていいんだぞ。ここは、お前の実家なんだから。いつでもしんどくなったら、来いよ。メールのことも含めて、兄弟の嫁とは、俺がよく話し合うから。お前は、静かな所で、まずは休めよ」
    私は、声も出せずに、その優しさが有難くて・・・うんうんと頷くしかできませんでした
     
     
    結局、私は、彼と別居生活しようと試みたのですが、また元に戻っていました
    これが、彼と私のトラウマ性結びつき(トラウマティック・ボンティング)の現れです
    母が言うように、私を本当に精神的に追い詰めていたのは、彼に間違いありません。
    しかし、周囲に理解者がいないと思い込んだ私には、優しい笑顔の彼だけが、私の味方のような気がしたのです
    DV被害を受けていると、境界線があやふやになります。
    DV加害者の思うとおりに操られているうちに、自分が消えていくからです。
    彼が、自分の中に溶け込んでいくような形になります。
    彼の喜びが、私の喜びになり、彼の悲しみが、私の悲しみになります。
    そうなると、彼との関係性が一番重要なので、彼が優しく愛情を示してくれることは、何よりも嬉しく幸せなことだと・・・感じてしまうのです。
    色々なことが重なり、混乱していたことも大きいのでしょう。
    自分を見失った状態が、様々な刺激を受けることでますます深まり、心配してくれている方々の心が見えなくなり、むしろ、攻撃や罵倒の只中にいるような状態に感じられ・・・。
    暗闇の中でオロオロと泣くしかない私を、救ってくれたのが、彼だと感じたのです
    DV被害に遭った方が、様々な場所で二次被害に遭い、再びDV加害者の下へ戻ることも少なくないそうです。
    私は、その気持ちが分かります。
    そこしか、自分の居場所がないと思い知らされてしまうのです。
    だって、彼は優しい時もあるのです。
    私の話を真剣に聞いてくれる時もあるのです。
    他の誰もが、日常生活に追われ、私のことだけに構えない・・・という時だって。
    彼だけは、私に関心を持ち、私のそばにいてくれるのですから。
    彼だけが、私を一番理解し、支えてくれるベストパートナーなのです。
    それが、彼にコントロールされている結果だとしても。
    彼が、そうしたいと思う時にしかされていないとしても。
    疲れ果てた、私の耳に、彼の甘い声が響きました。
    「大丈夫。俺が、守ってあげるからね
    その時の私には、天使の囁きのようでした。
     
    いやあ、ホントに恐ろしいです。DVって
    骨の髄まで、入り込んでいるのかも・・・って、思います、彼が
    DV被害に遭っている方の周囲の方は、難しいとは思いますが、被害者の中に、加害者が入り込んでいることを・・・忘れないで下さいませ
    心の波が立てば、あっという間に、加害者が顔を出して連れ出してしまうのです
    のってけ、のってけ、のってけ、てけてけ〜って
    この波は、誰も乗りたくないでしょうにね




















    DV被害・・・トラウマティック・ボンディングからの脱出

    • 2009.07.09 Thursday
    • 12:33

    夫から子供を守ろうと、実家に避難して、その実家で騒動に遭い、その結果
    この世界で、私を一番理解してくれるのは、夫で
    この世界で、私を守ってくれるのは、もう夫しかいない
    そう感じるようにまで、落ち込んでしまった私は、家に引きこもり、毎日泣いていました
    子供がいる時は、笑顔で元気に振る舞いましたが、子供を保育所へ送り出すと、泣き崩れていました
    子供を寝かしつけている時までは、優しい顔のお母さんでいましたが、子供が寝ると、まるで幽霊のように、さめざめと部屋の隅で泣いてばかりいました
    欝状態がいよいよ危なくなり、自殺願望が強く出て来て、自殺の方法を考えるようになりました
    ちょうど診察の予約が入っていたので、病院に向かいました。
    フラッ・・・と、歩道橋から飛び降りそうになり、自分で自分が恐くなり、慌ててバスに飛び乗りました。
    バスの中でも、ずっと泣いていました。
    涙を止める方法を教えて欲しくて、病院に向かったようなものでした。
    主治医は、私の顔を見ると、眉を寄せました。
    「どうしました?何かありましたよね?」
    「は・・・話すと・・・人の悪口に・・・なりそうで・・・こわいんです・・・また自分を・・・せ、責めて・・・死にたくなる・・・から・・・
    泣きじゃくる私に、主治医は、優しく言いました。
    「あなたは、そういう方ですよね。それに、あなたは、泣けば泣く程強くなる人だから、泣くことはいいんですけどね。
    ただ、辛そうだし。自殺願望が出ているから、薬を追加しましょう。漢方ですが、他の薬の効果を強める作用のものです。飲めば、すぐに自殺のイメージ消えますから。大丈夫ですよ。死ななくていいです」
    「・・・はい、ありがとうございます・・・
    「それでも、まだ辛いようなら、すぐに来て下さい。また何かあったら、すぐに来て下さい。いいですね?」
    「・・・はい・・・
    私は、薬局で薬をもらうと、すぐに飲みました。死にたいという願望を少しでも早く、取り除きたかったからです。
    久し振りに、空を見上げました。
    青空でした
    何処かでも、青空を見たなあ・・・と、ぼんやりと思いました。
    雨上がりの空は、まだ雲が多く出ていましたが、青い部分は洗われたように澄んでいました
    綺麗な青だなあ・・・と、思いました。
    目に沁みるような、空の色だなあ・・・と、じっと見つめていました
    あの空には、天国があるのかな・・・天国には、大好きなおじいちゃん・おばあちゃんがいて、今も見ていてくれるのかな・・・。
    「・・・もう・・・疲れたよぉ・・・おばあちゃん・・・疲れたよぉ・・・
    私は、空を見ながら、また泣いていました。
    「・・・おばあちゃん、迎えに来てよぉ・・・もう、辛いよぉ・・・
    小さな子供のように泣きじゃくりながら、家路をゆっくりと帰りました。
     

    薬の効果はありましたが、薬が切れると、すぐに涙が出て来て、また死に囚われる・・・という繰り返しでした。
    食欲はなく、夜は眠れず、人と話すことも恐くて、閉じこもっていました
    また誰かに攻撃されるのではないかと、怯えていました
    子供の前では、明るく振舞っていましたが、彼の前では、弱い自分をさらけ出し、彼に頼りきっていました
    彼としか、安心して話せない状態でした。彼は、責めないし、優しいし、私は悪くないと言ってくれたからです
    それでも、彼といると苦しくて、辛くて
    彼が、優しいのに、恐いのです
    彼をそう思う自分が嫌で、情けなくて、また自分を責めて
    私は、彼に泣きながら、謝りました。
    「・・・ごめんね、こんなに優しくしてくれるのに・・・守ってくれるのに・・・支えてくれるのに・・・まだ恐がっていて・・・
    「いいよ。そんなこと、恐くて当たり前だよ。俺が、ひどいことしてきたんだから・・・
    「だって、今はこんなに優しいのに・・・
    ねえ、私どうしたらいいのかな?自分では分からなくて。どうしたら、楽になるのかな?」
    「・・・実家とは、距離を置いた方がいいと思うよ。また何に巻き込まれるか分からないし。ご両親はいい方々だけど、奥さんのこと理解して、大切に思っているかどうか・・・DVへの配慮もないし。奥さんが、苦しむだけだと思う。奥さんが苦しむのを見るのは、俺も辛いよ。
    ここにいれば、俺が守ってあげるから。何でもやってあげるし、協力するし。俺がいるから。俺に任せておけばいいよ。俺が一番、奥さんを大事に思っているんだから
    優しい笑顔の彼を見て、私は・・・・・視界が、歪みました。
    ムンクの有名な絵のように、世界が、ユラリ、グニャリと歪みました
    何かが、違う・・・!と叫んでいるのです。
    私の内側から。
    しかし、声には出ないし、何が違うのかも分からないのです。
    目の前の、彼の言葉と笑顔が・・・現実であり、私の希望であるはずなのに。
    違う・・・!!と、内なる声が、叫ぶのです。
    吐き気がしました。
    私の身体が、心ごと、裂かれるように、苦しく痛くなりました。
    「・・・・ど、どうしたの・・・?!
    私のただならぬ様子に彼が驚き、肩に手を置きました。
    その瞬間、胃がひっくり返ったかのように、吐き気がググッと喉まで迫りました。
    ビクリッと、体が痙攣しました。
    何もかもがバラバラになりそうでした。
    耐え切れず、突っ伏した私が、吐き出したのは・・・。
    胃液でもなく。
    血液でもなく。
    愛憎の言葉でもなく。
    「・・・・死んだ、おばあちゃんの・・・ところに、もう逝きたい・・・
    でした。
    一度出たら、もう止まりませんでした。
    泣きながら、
    「おばあちゃん、迎えに来て・・・・っ!!
    と、叫び・・・そのまま泣き崩れていました。
    どれくらい、そうしていたのか・・・気が付くと、彼も泣いていました。
    私に頭を下げて、
    「ごめんね、ごめんね。そんなに苦しめて、追い詰めて、ごめんね・・・
    と、言っていました。私は、泣き腫らした目をパチクリさせながら、
    「何で・・・謝るの?あなたは、とてもよくやってくれているじゃない・・・」
    と、言いました。彼は、首を横に振りました。
    「違う。今、奥さんは混乱しているから、そう思ってくれているけど。すべての元凶は、俺なんだよ。俺が悪いんだ。奥さんの優しさに甘えて、俺がそばにいたいために・・・こんな風にしてしまった
    「・・・・?」
    私は、彼の言っていることが、よく分かりませんでした(その時は)。
    「俺が、出て行きます
    彼は、涙を拭いて、キッパリと言いました。
    「俺が、親に頭下げて、しばらく俺の実家に住むようにする。
    奥さんを今は、癒すことが一番大事だと思うから。
    俺から離れて、自分を大事にしてあげて。
    俺が離れれば、きっと、奥さんのご両親も喜んで協力してくれると思うから。そうするね
    彼の言葉に、私は、力が抜けました。
    何かが、ふっ・・・と、離れた気がしました。
    体中の重みが取れ、吐き気が消えました。
    歪んでいた視界が、元に戻り、震えも止まっていました。
    「・・・・・ありがとうございます・・・・・
    私は、深々と頭を下げてお礼を言いました。
    彼の選択と行動は、私の命を救ったのです。
      

    結局、私は、自分からは、彼との結びつきを切り離すことはできませんでした。
    せいぜい、体が拒否反応を起こしたに過ぎません。
    病気があるとはいえ、死に逃避しようとしたくらい、自分は弱くなっているのだと思い知りました
    選択も、決断もできない状態を・・・救ったのは、彼でした。
    そして、彼の選択と決断を導いたのは、DV加害者更正教育プログラムのおかげだと思います
    彼の私への愛情の方向性を正しい方へと繰り返し繰り返し、指し示して下さっていたからこそ、彼が、今回私のために別居してくれたのです
    DV加害者更正教育プロブラムを受講して、10ヶ月目突入。
    ようやく、彼が、大きな一歩を踏み出した瞬間でした
    大きな危機は乗り越えましたが、トラウマティック・ボンディングは、消えたわけではないでしょう。
    今でも私の心身を巣食い、何かあれば出て行ってやるぞ・・・と、待ち構えているのだと感じます
    まだ、心療内科で処方された、自殺予防の薬は飲んでいます。
    入院を検討されることもあります。
    それでも、ここまで快復してきました
    彼は、後日、言いました。
    「奥さんをとても可愛がっていた、亡くなったおばあさんが・・・本当にすぐそばまで、迎えに来たような気がしてすごく申し訳なくて、そんなに辛いんだ・・・って。相当、しんどいんだって。分かったんだ
    いつもなら、奥さんがどう言おうと、ああ・・・また俺を責める気だな、とか。俺だって、辛いんだから・・・とか、思うんだけど。
    そう、思えなかったんだ。おばあさんが、本当にそこにいて、俺達を見ているような気がして。俺が何とかしないと、本当に奥さんを失ってしまうって。奥さんが生きていてくれるなら、俺のプライドや色々なんか、どうでもいいって、初めて思ったんだよ
    おばあちゃん・・・本当にありがとうございます
    私も、あの時。
    おばあちゃんを感じていました
    おばあちゃんが、私を泣きそうな顔で見て、”もうええよ、もうええよ・・・”って、頭を撫でてくれている気がしました
    死という別れは、本当に悲しいです。
    それでも生きていると、何処かで触れ合ったり、つながることがあるのかも知れないと思いました
     
    おばあちゃんに誓って、頑張ると、彼は宣言していましたが
    これからどうなるのでしょう。
    私も、真面目に治療して、また力をつけていきます














    DVなのに離婚しないのは何故?と、聞かれたら・・・私の場合

    • 2009.07.21 Tuesday
    • 22:48

    電車に乗った時、ふと上を見ると、車内に蝶々がいました
    子供が興奮して喜んでいました
    今でもあの蝶々は、無事に車内から出ることが出来たのか、ふと思うことがあります。
    とても綺麗な羽根の色をしていました。
    無事に再び大空へ戻れたと、信じたいです
     
    DV加害者更正教育プログラムを受講しているとはいえ、どうして、夫と離婚しないのか
    DVは嫌いだけど、彼は、好きだから
    DV加害者更正教育プログラムにより、彼が変わると信じたいから
    彼が変わってからでないと、怖くて離婚できないから(離婚する時が一番危険と聞くので)
    子供から父親を奪うことに抵抗を感じるから
    母子家庭で頑張る自信がないから
    病気が重い今の状態で、働くことは無理だと思うから
    子供が、お父さん大好きだから
    そういう私に対して、心配する周囲から、
    「必死に働き出せば、病気なんか吹っ飛ぶよ
    「女性も自立しなくちゃ。そのためには、まず働いて稼ぐこと、頑張って、子供のために
    「どれだけ繰り返されれば思い知るの?彼は変わらないよ、目を覚まして
    「変わらない彼と添い遂げる覚悟を決めて生きるか、離婚するか、どちらかだと思う
    「母子家庭でも、立派にやってみえる人はいっぱいいるし、色々な家庭がある時代なんだから。大丈夫だよ
    「子供が、パパを好きなのは、あなたがそう思わせているんだから。子供こそ被害者だよ。悪い影響しか与えないんだから、早く別れた方がいいんだってば
    と、声が雨のように降りかかった時期がありました
    情けないですが、泣くばかりの当時の私でした
    離婚しようと決意したことは、三度あります
    すべて、子供に彼が直接DVをした時です
    精神的DVであっても、子供が受けた衝撃は、とても大きく辛いものです
    もう、この人に父親の資格はないっ!!そう思い、離婚を決意しました
    しかし、その決意が揺らぐのです
    前述した諸々のことを考えるからでしょうか?
    実は、そうではありませんでした
     
    トラウマ性結びつき・・・トラウマティック・ボンディング
    私の深層に、こびりついたものです。
    私は、結婚前の自分をうまく思い出せません。
    いつの間にか、彼のために生きるプログラムを組み込まれたロボットに意識改造されていました。
    そのために、人間だった頃の記憶があいまいなのです。
    そして、そのプログラムは別居した今もまだ働いていて、私の中に彼が入っているようなものなのです
    私の意識の中に彼がいて、私の自我は幽霊みたいに透けていて、クッキリと姿を現しているのは、彼の分身像です
    私の自我と、彼の分身像は、重なり合っています

    時々、風に揺れるように、透けた自我がユラユラとずれて、ゆらめきますが、ほとんど重なったままの状態です
    はたから見ると、体操座りしている彼の身体から、私の自我が透明に近い白さで、きのこのように生えているような感じです
    つながり、重なり、結ばれているのです
    彼が、私である
    彼が、私のすべてであり、世界で、居場所で、理解者で、源
    本当は寄生しているのは彼なのに、いつの間にか、私の自我が寄生しているような形になってしまったのです
    離婚すると、どうなるでしょう。
    彼と別れると、どうなるでしょう。
    今の私は、自分を失うに等しいのです
    無理やりもぎ取られれば、寄生の形でかろうじて生きていた自我が残っても、足元の大地を失い、栄養が取れなくなり、枯れてしまう・・・そんな状態なのです。
    私が、彼だからです
    彼を失うと、私自身も失うようで、怖いのです
    とてもとても怖いのです
    離婚を考えると、胸が苦しくなり、涙が止まらなくなります。
    目の前にとてつもなく高い壁が、どんどん積み上げられていくようなイメージが湧きます。
    それは、
    「彼が変わるのを待ちたい」
    「母子家庭になることに踏み出せない」
    「病気を抱えて仕事をすることに不安を感じる」
    レベルではないのです、実は。
    人生の一歩を踏み出すことも、選択を決断することも、「自分」がなければ、無理なのです、本当は。
    「自立しなければ、DVから抜け出せない」
    言われる意味は分かりますが、自立するためには、「自我」が必要です。
    しっかりとした、足元が重要です。
    そこが・・・・・真っ暗なのです。
    だから、今は、離婚に踏み出すことができません
    勇気を持ちたいです。
    強さを持ちたいです。
    子供のためにって、頑張りたいです。
    でも、今は、勇気や強さや頑張りを・・・離婚という選択には、まだ使えないのです
     
    子供は、父親に精神的DVをされても、父親を慕う気持ちは変わりませんでした
    怖がったり、嫌がったりした時期も、もちろんありました。
    お父さんと二人きりのお出掛けは嫌だと、泣く日々もありました。
    しかし、彼が、本格的にDV加害者更正教育プログラムを受講し始め、子供に対して少しずつ意識を変えることができるようになると・・・一番、喜んだのは、子供でした
    一番、敏感に感じ取り、一番、最初に気付いたのも、子供でした
    お父さんに甘えていいんだ・・・・。
    子供から、笑顔がこぼれました
    お父さんに駄々をこねてもいいんだ・・・・。
    子供が、生き生きと動くようになりました
    お父さんにいたずらしてもいいんだ・・・・。
    子供は、子供らしい仕草や態度を取り戻していきました
    お父さんに遊んでもらっていいんだ・・・・。
    現在は、子供にとって、お父さんは、喜怒哀楽を出しても安心できる存在になりつつあり、素直な自分を出しても受け止めてくれるという信頼を感じ始めているようです
    虐待されていたからこそ、子供は、父親の愛を求めずにはいられません
    愛して欲しいから、自分が「星になる」というくらいの命がけの愛を、父親に示したのです
    愛して欲しいなら、自分から、まず愛しましょう。
    このことを・・・子供は、小さいのに、もう知っているのです。
    愛を求めるならば、まず、愛を与えましょう。
    子供は、実践して、信じ続けていたのです。
    いつか、お父さんも同じように愛してくれる・・・・と。
    その思いを全身で感じているだけに、私は、とても悩みます
    子供から引き離さなくてはならない相手なのに
    子供の心の傷を癒す絶大な効果を持ちうる相手
    この大きな矛盾
    彼と会った時の子供の幸せそうな笑顔を見て、過去、離婚を諦めています
    本当に、嬉しくてたまらない、幸せな笑顔なのです
    別居してからは、尚更です

    私も、子供も、今は、彼と完全に離れることはできないのです
    離婚しないのは、何故?と、聞かれましたら、
    「自分がキノコに変わり果てているので、せめて新しい芽を生やすまで無理ですから。
    今は、栄養を沢山入れて、新しい土壌を掘り返します」
    と、答えます。
    子供がそれでは不幸じゃないかと、怒られたら、
    「無理せずに周囲にサポートをお願いします。キノコから卒業できるまで、子供を守ることができるように、周囲にオープンにして、助けてもらいます。身内だけでなく、DV専門機関や子供の教育機関、医療関係者、すべてに隠しません。DVは不幸なことだけど、あなたは不幸じゃないよ、こんなに沢山の人に愛されて、支えられて、生きている。生きるって、素敵だねって、伝えていきます」
    と、答えます。
    心配してくれる方は、とても有難いですいつもいつも感謝しております。足を向けて眠れない方ばかりです
    私が決めていいんですと、助言して下さる方は、神様と同じくらい神々しいです
    私の決断を待って下さる方は、慈悲深い仏様みたいです心の中で、合掌して拝んでしまいます
    今日も、自分の土を耕します
    ・・・まさか、青春時代にやったことを再びやることになるとは
    恐るべし、人生
    エンヤコーラと、耕しますっ











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